どんな映画なのかしら と
思い10数年…
やっと観ることができた。
寂しくてきれいな映画というのはイメージ通りだったが
少々驚きもあった。
こんなにあからさまに身障者に向けられる言葉や状況が表現されているとは…
ある意味現実を突きつけられている映画だ。
映画の冒頭、R-12指定の文字が出た。
性描写も多い。
でも観終わって ああ と思った。
差別が当たり前で自然すぎるのだ。
あんなこんなのシーンよりも、、それかな…と感じたりもしました。
足が不自由なジョゼに偶然出会うツネオ。
どうやら彼女は幼い頃からおばあちゃんと二人ぐらし。
おばあちゃんはジョゼの存在を隠している。
彼女の身の回り品や、本がたくさん部屋にはあるが、
どれもこれも古臭く超時代遅れのものばかり。
どうやらおばあちゃんが近所の人が捨てたゴミを拾って来ているようだ。
彼女の時間は数十年前で止まっている、、、、
ここで印象的なシーンがあった。
ある日、ツネオは外に出られない彼女をこっそり外に連れ出す。
乳母車にジョゼを乗せて町を疾走するツネオ。
土手で転んでしまい、ふたりで空を見上げる。
ジョゼが
「あの雲もって帰りたい」とつぶやく。
空を見ることがないジョゼを思うと切ない。
順調に2人の恋は進むのだけど…
結局、ツネオは彼女を包み込める度量はなかった。
ラストシーンが素晴らしい映画だった。
いままで世界から切り離された深海で子どもの心のまま老婆になったように暮らしていた彼女が一人の自立した女性の姿を見せてくれている。
ボサボサ頭だった彼女が、髪を結わえた姿を見て胸がいっぱいになる。
でもやっぱり彼女は彼女で…とほほ笑んでしまうラスト。
池脇千鶴が本当にすごかった。
低い声でおばあさんみたいに話すジョゼの魅力的なこと!
おもろいキャラだな~と思っていたが、よく考えると彼女が知っている人間がすくなすぎたからと気づく。
彼女が知っているのは低い声の老婆と異常に口の悪い幼馴染…
人の弱さ、ずるさ
人の強さ、たくましさ
そんなものが垣間見える映画でした。