Gardenがーでん

ひとりの主婦の小さな世界 

捨てられない風呂椅子

私の家の風呂椅子は30年ものだ。

 

もう、ボロボロで汚くてとても写真なぞ載せられない。

 

周りのコーティングが剥がれていて、ついていたキャラクターの絵もかすれて見えづらい。

随所に傷やモケモケがあって、洗っても洗っても綺麗にはならないし、すぐに黒くなる。

 

 

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普通捨てる。

ゆーか他人に見られたらアウトのレベルだ。

でも、どーしてもどーしても捨てることができないのだ。

 

 

昨日旦那が珍しくその風呂椅子を洗っていた。

 

何度も話したけど、きっと忘れているだろうから改めて何故捨てられないのかを旦那の背中に話し始める。

 

 

 

 

 

私が百貨店のキャラクターショップで働いている時だ。隣の店舗がアパレル系だったように思います。

そこのお店のお姉さんに割と仲良くしてもらっていたんです。

 

 

しばらくして私は妊娠しました。

しかし会社がギリギリまで働かせてくださったので大きなお腹を抱えて仕事を続けていました。

 

 

ある日そのお姉さんが私のSHOPにやって来て、こう言った。

 

「私の知り合いが結婚するの。アナタと同じくらいの歳の子やからプレゼント選んでくれへん?」

 

私は快くOKして商品を選び始めた。

どんな人なのか、好きそうなもの、いりそうな物は何?と聞いたが

「あなたが欲しい思うものでいいのよ。」という答え。

 

私の趣味でええんかなあ?と思ったが私と同じくらいの年齢で同じような境遇ならと

いくつか商品を選んだ。

 

お会計をすませラッピングしてお姉さんに渡す。

「ありがとー!」と言ってお姉さんは自分のショップのほうへ帰って行った。

 

あれでよかったのかなあ?と思っていたらお姉さんが商品を持って帰ってきた。

そして

「結婚出産おめでとう!私からの御祝い!」とその商品を私にくれて颯爽と仕事に戻って行ったのだ!

 

 

完璧で素晴らしいサプライズだった。

その人が欲しいものをプレゼントする。

それも遠慮の気持ちを起こさせずに!!!!!!

 

 

情けない事にこのお姉さんの顔も名前も思い出せない。

 

 

それから割と直ぐにそのお姉さんはお店をやめてしまったのでそれきり。

颯爽と去っていく時の髪の色と服装だけはぼんやりと思い出せるのだけど。。。

 

 

夏生まれの娘が使っていたバスタオルも、未だ我が家のリビングで時間を教えてくれる掛け時計も、その時のプレゼントだ。

 

 

バスタオルは色があせすぎてガサガサだが娘の小さい頃の写真に必ず写っていて、大切な思いなので捨てられない。

 

 

この風呂椅子は限界を突破している。でも

あの思い出を捨てるような気がしてどうしてもどうしても捨てられないんだ。

 

 

 

 

 

 

「それは捨てられないなあ」

そう言って旦那は更に椅子をゴシゴシし始めた。

余計にキズが増えそうだけど。。。笑

 

 

 

この椅子をと別れる時は御焚き上げせなあかんくらいの気持ちだ。

 

 

 

 

あのお姉さんが今幸せに暮らしているといいなと思う。

時折思い出してお姉さんの健康とご多幸をお祈りしよう。

 

ありがとう。

 

 

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